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Hiace Pride – 商用車の信頼とプライド

かけがえのない仕事のパートナーとして、お客さまの安心と信頼を得ているハイエース。私たちトヨタ車体が誇るその魅力について、5代目ハイエース チーフエンジニア 石川拓生(執行役員)に話を聞きました。

自分らしく育てる、かけがえのないパートナー

― 商用車としての活躍はもちろん、最近は幅広いカスタマイズでも人気ですが、どう感じていますか?

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石川:ハイエースをもっと楽しむためにカスタマイズしていただけるのは、本当にありがたいことです。さまざまな業界でのカスタマイズはもちろん、レジャー向けのアフターパーツなども多彩で、みなさまのハイエースへの深い愛情を感じています。

― 5代目ハイエースのデザインには、どんなこだわりがあるんですか?

石川:デザイナーには、あえて無難なデザインにしてくれと頼みました。デザイナーとしてはあまり面白くない指示だったかもしれませんが(笑)、それこそがハイエースのプライドです。
例えばアルファードのような、インパクトの強いデザインとは逆ですね。商用車としてモデルライフが長いからこそ飽きさせず、オーソドックスでいじりがいのあるデザインにこだわっています。

― 昨年登場したアースカラーパッケージも良いですよね。

石川:白黒の方が店舗ロゴを貼ったり塗ったりと使い勝手は良いですが、女性を中心に、柔らかい色合いが欲しいというお声もあって、メーカーとして是非やろうと決めました。おかげさまで好評です。

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― 他にも、お客さまの声で実現したものは多いんでしょうか?

石川:ハイエースは主役ではなくて、お客さまにとってかけがえのないパートナーです。長く使っていただく相棒として、さまざまな業界の声を反映しています。
例えば配送業で、両手が荷物で塞がっていて、足でフロントドアを閉めるケース。クルマの外側を蹴ってしまうと外板が傷ついてしまうから、ドアの内側を足で押して開いて、反動でドアを閉める方が多いです。普通のクルマではそんな使い方を想定していませんよね(笑)
他にも、重い荷物を投げ入れたり、鋭利な仕事道具を落としてしまったりしても、忙しいお仕事の中でも安心して使えるように工夫しています。他のクルマではやらない、ハイエース専用の評価がたくさんあるんですよ。

働く人にとことん寄り添うカタチ

― 皆さんのお仕事のパートナー、商用車ならではの工夫ですね。

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石川:開口部やホイールハウスなども、パレットや脚立などのサイズを考慮していて、スムーズに出し入れしやすいよう徹底的に考えています。ハイエースの寸法は、単純に最大限の広さにしているのではなく、全ての寸法に根拠があるんですよ。例えば、建設会社の方がよく使う脚立は、8尺(2.4メートル)です。

― ハイエースバンのカタログに「荷室長 約9尺」って書いてあるのは、そういう意味ですか?

そうです。畳などはもちろん、木材なども、建築業では今でも尺貫法が使われています。さまざまな業界の方が荷物を出し入れしやすいように、あらゆるデータをもって設計して、実際に自分たちで検証しています。

― お客さまの声は、他にはどんなものがありますか?

石川:実は「何も変えないでほしい」という声が一番多いです。カスタマイズして使っている方からすれば、例えば数年後に買い替えてサイズが変わってしまうと、カスタムパーツが使えなくなってしまう可能性がある。
ハイエースは、人それぞれの幅広いアイデアが活かせるクルマです。将来また次のハイエースを選んでいただく際にも、これまでと同じ使い方ができるよう、変わらない安心感を大切にしています。

いつまでも頼れる相棒

― 初代誕生から58年。ハイエースをずっと乗り継いでいる方もいますよね。長く乗り続けられる工夫があるんですか?

20250326-02_05石川:自動車は高い安全性が求められます。例えばドアの開閉耐久を調べる試験では、繰り返される開閉や振動によって突然壊れてしまわないよう、何度もテストを繰り返す必要があります。
ハイエースは過酷な現場にも使われる商用車なので、規定回数をクリアした上で、さらに耐久試験を続けて、どこが壊れるかを確認しています。絶対に壊れないということではなく、壊れたとしてもスムーズに修理回復できることが、長くご愛用いただけるポイントです。

― どうしてそこまで徹底するんですか?

石川:どこが壊れるかが大切なんですよ。例えば、いきなりボデーが壊れてしまうと、クルマ全体を交換しなくちゃいけない。でもドアチェックやヒンジなら、パーツを交換するだけで、またすぐ乗れます。
不具合が現れた時に、音や見た目でお客さまがすぐに気づけること、大掛かりな作業をしなくてもすぐ交換できる箇所であること。壊れ方をマネジメントすることも、商用車ではすごく大切なことなんですよ。

― なぜ商用車だと、壊れ方まで気を付ける必要があるんですか?

石川:商用車は、お仕事のパートナーですからね。もし壊れて修理に何週間もかかってしまったら、その間に仕事ができなくなってしまいます。ダウンタイムをいかに短くするかが、パートナーとしての使命です。

― 壊れるにしても、すぐに気づいて修理できて、長く使える。裏切らない信頼性が仕事のパートナーとして選ばれる由縁ですね。

世界をつなぐハイエース

― 5代目は海外でも人気ですが、その理由は?

石川:例えば南アフリカやケニアで、鉄道のない地域で通勤・通学のバスとして活躍しています。日本では徒歩通学が一般的ですが、海外ではバス通学が基本です。バスがないと学校や仕事に行けなくなるため、何日も使えないというわけにはいきませんよね。すぐに修理して、翌朝の通学に間に合う。それが社会インフラとしての、ハイエースの責任です。
エジプトでも、カイロやギザからピラミッドへ観光客を輸送するバスは、ほとんどハイエースかコースターです。都市部ではさまざまな車種を見かけますが、ピラミッドまでの暑い地域を何度も往復するとなれば、使える車種は限られます。
赤道が近い太平洋のパプアニューギニアでも同じ理由で、都市間輸送バスに活用されています。

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― アジアでは、どうでしょうか?

石川:タイでは生産もしていて、そこで働く皆さんは幼少期の通学から現在の通勤まで、ハイエースを生活の足として利用してきた経験もあって、愛着を持って仕事に取り組んでいただいています。

― 日本は道路舗装率が高いですが、海外ではまだまだ悪路も多いですよね。

道路環境や安全基準は国ごとに異なりますが、厳しい海外の基準に合わせて作っています。日本向けも同様です。日本でも、舗装されていない現場に向かう方がいますからね。
悪路だからといって、むやみに補強をすれば、重くなってしまいます。商用車として大きな積載量を確保するだけでなく、小さな路地でも入っていける小回りの良さも大切です。ボデーの厚みを極限まで薄くし、荷室の容量を確保する。ボデーの大きい欧州の商用車と比較すると、300ミリ位は全幅が狭いんですよ。モノコック構造でボデー全体に入力を分散する絶妙なバランスがあるからこそ、荷室を広く確保できるんです。

お客さまとともに、これからも走り続ける

― 使う人のことをとことん考えたクルマですね。これからのハイエースは、どう進化していくんですか?

石川:例えば、カーボンニュートラルなど環境に配慮する取り組み、安全性能を向上させるToyota Safety Senseなど、技術は日進月歩です。
とはいえ、ハイエースが進化をする際は、お客さまの仕事にかけがえのないパートナーという役割が大前提にあります。これまでと同じように扱える「旧知の相棒」でありながらも、さらに使いやすく、メンテナンスしやすく、人にも地球にもやさしいクルマへと進化を続けたいですね。

― 時代に合わせた進化と、変わらない使いやすさ。商用車への期待は大きいですね。

石川:社会インフラや仕事のパートナーとしての使命感は決して軽くはないです。ハイエースを何台も乗り継いでくださったと聞くと、本当にうれしいですよね。
これまでのみなさまへの感謝として、より過酷な条件でさらに性能を磨くためにも、近年はラリーにも出場しています。変わらぬ信頼を持つハイエースの新しい一面。「そんなこともできるクルマなの?」という驚きも、ぜひ楽しんでください。

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昨年は5代目ハイエースが誕生した2004年から、20周年を迎えました。どんな時でも頼れる存在はそのままに、これからもかけがえのないパートナーとして進化を続けてまいります。

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