「クルマづくりを通して人々の暮らしを豊かなものにしたい」
創業者・豊田喜一郎が抱いた情熱を受け継ぎ、私たちは2025年8月31日に創業80周年を迎えます。
ボデー専門メーカーとして創業した当社は、産業を支える商用車を中心にクルマづくりの挑戦を続け、完成車メーカーとして歩みを進めてきました。80年のあゆみを振り返り、次の時代に向けてさらにあゆみを進めます。
希望を乗せて、人とモノを運ぶトラック
戦前、豊田喜一郎は欧米視察で、自動車が人々の便利な足として使われている光景を見て、国産乗用車の開発に挑み始めました。この挑戦が、トヨタグループの始まりです。
戦争が終結すると、復興に向けて物資や人々を運ぶためにトラック需要が急増。復興を支える道具としてのクルマにとどまらず、さらにその先の未来の「豊かな暮らし」を実現するために、私たちのクルマづくりが本格的に動き出しました。
喜一郎は「自動車工業の確立には、専門的なボデー設計・技術・生産体制の整備が急務であり、ボデー専門メーカーが必要である」という強い信念のもと、トヨタ自動車の刈谷工場を分離独立。トラックボデーの専門メーカーとして当社の前身である「トヨタ車体工業株式会社」が誕生しました。
トラックボデー専門メーカーとしてプレス・ボデー技術を磨き、生産設備や品質管理を向上。1951年、日本初のオールスチールキャブ大型トラック「BX型トラック」が誕生しました。その3年後には、狭い道でも小回りの利く小型四輪トラック「トヨエース」の生産を開始。より安価で安定性と居住性に優れたトヨエースは、トラックの国民車としてみなさまに親しまれ、小口物流の新しい担い手となりました。
復興から高度経済成長期へと移行する中で、1963年にはトラックをベースにした日本初の量産小型バス「ライトバス」が誕生しました。
翌年に開催される東京オリンピックに向けて交通インフラの建設が進み、多くの人々が移動する時代。トラックの荷台で乗客を風雨にさらすことなく、安全快適に大勢を輸送できるライトバスは、産業発展を担う人々の足として活躍しました。
創業当時から描いていた、復興の先の未来。豊かな暮らしを実現するためのクルマづくりは、さらに加速していきます。
社会を支え、暮らしを彩るクルマ
1960年半ばには、日本経済の大動脈として東京・名古屋・大阪を結ぶ都市間高速道路が整備され、物流だけではなく、人々の余暇にもクルマが活躍する時代が到来しました。
産業の道具としての商用車だけではなく、生活をより豊かにする自家用車にも、これまで培ったボデー技術が活かされます。1965年に誕生した「コロナ ハードトップ」は国産車初のハードトップボディを採用。センターピラーのないボデーは視界が広く解放感のある乗り心地で、スタイリッシュなデザインは多くの注目を集めました。
そして1967年には、現在まで続くロングセラー「ハイエース 」が誕生します。
商用車で国産初のモノコックボデーを採用したハイエースは、頼もしい積載量を備えた商用車としても、快適な乗り心地の送迎車としても、多様化するニーズに対応できる柔軟な商用車として活躍しました。
さらにハイエースをベースとして、冷凍車や福祉車両などの特装車も開発し、お客さまのニーズに幅広く応える総合ボデーメーカーへと成長していきました。
天才タマゴ「エスティマ」の誕生
トラック、乗用車、商用車づくりを通して培った開発力により、ミニバンという新たな可能性を世の中に届けてきました。中でも「エスティマ」は、丸みを帯びたエッグシェルデザインが特徴で、世界初のアンダーフロアミッドシップ構造を採用した広々とした乗り心地は、当時のファミリーカーの常識を大きく覆しました。
走る楽しさと乗り心地を両立したクルマの実現は、技術的に難しい挑戦の連続でしたが、これまで培ってきたボデー技術と、創業から変わらず抱き続けてきた情熱の両輪で、常識を覆すタマゴが誕生しました。
この挑戦で得た知見と情熱は、また次の挑戦への糧となり、ライトエースを始祖とするノア・ヴォクシー、高級志向に応えるアルファード・ヴェルファイアが加わり、ミニバンが当社の事業の柱のひとつになりました。
2004年にはアラコの車両・特装事業と統合してSUV車ランドクルーザーが加わり、新生トヨタ車体として2020年ビジョン「ミニバン・商用車・SUVの完成車両メーカーを目指す」を制定し、新たな一歩を踏み出しました。
次の時代へ、幸せをハコブ
2012年にはトヨタ自動車の完全子会社となりました。
トヨタグループの商用部門を一手に担い、当社が得意とするミニバン・商用車・SUVを中心に、特装車・福祉車両・超小型EVを加えて、企画開発から生産まで一気通貫に手掛ける完成車両メーカーへと進化を遂げました。
さらに2018年には、トヨタ自動車のバン事業が当社へ移管。完成車両メーカーとしての権限と責任を持ち、主体的に開発・生産に取り組むことで、お客さまと直接向き合う事業スタイルへの大きな転換点となりました。
現在は2035年に向けたビジョンとして、ハコブ(HaCoB)を通じて世界に貢献し、移動にプラスアルファの価値を創造する企業へと進化を続けています。
- Happiness
すべてのステークホルダーの幸せをつくる - Connect
人々の暮らしをつなぐ価値を提供する - Breakthrough
未来に向かってみんながかわる
カーボンニュートラルの実現に向けて、トヨタ自動車と共にBEVやHEVなどマルチパスウェイで技術開発を進めながらも、積載量やダウンタイムにおいてお客さまの利便性を損なわずに供給責任を果たしてまいります。
創業から80年間、多くのお客様に当社製品をご愛顧いただいてきたことに心より感謝いたします。
これからも、「クルマづくりを通して人々の暮らしを豊かなものにしたい」という創業当時の情熱と時流を先んじた技術開発により、次の時代への歩みを進めてまいります。